音波振動を極浅層地中内に伝搬させ、スキャニング振動計(SLDV : Scanning Laser Doppler Vibrometer)を用いてその地表面における伝搬速度を非接触的に計測することにより、極浅層地中の含水部を推定可視化し、広域の水分分布計測が行なえるようにすることが本研究の目的である。 今年度はまず伝搬音速が明らかになっている土壌(この場合は平均粒径約300μmの海岸砂、乾燥時の伝搬音速は約130m/s)の内部領域浅層部にあえて水分含有量の異なる領域を作成し、その部分が明瞭に可視化できるかどうかの実験を行った。実験としてはプランタ底部から超磁歪振動子による振動を加え、地表面の振動速度分布をSLDVにより2次元面的に計測する。計測された波形データから伝搬音速を推定して水分含有量の違い(砂1000gに対して、水150mlの場合と250mlの場合)による音速分布を2次元図として司視化できることを確認した。また、加速度センサと超磁歪振動子を用いて砂の場合の含水率が伝搬音速にほぼ比例することを明らかにした。さらに、土壌内部に設置した多孔質管から水分を供給する負圧差潅水方式における水分分布の変化についてもほぼリアルタイムで観測可能であることを明らかにした。また、土壌を園芸用のルーフソイルに変更した場合についても、同様な実験を行い、砂に比べると伝搬音速が遅い(約50m/s)ものの、可視化自体は可能であることを確認した。
|