研究概要 |
昨年度の暑熱時の抗酸化効果においては「還元水」と「水素水」の両試験水で、また飼育成績においては「還元水」でより改善が認められた。そこで、両「試験水」の飲水による小腸形態変化ならびに遺伝子発現変化を明らかにし、試験水の暑熱緩和効果の作用メカニズムの一端を解明するとともに、試験水との組合わせによる相乗効果の可能性について検討した。肉用鶏雄を供試し、24:H_2O区(対照:全脱塩素水)および32℃慢性暑熱3区(32:H_2O,全脱塩素水;32:R-H_2O,感作6日前より電解還元水;32:H-H_2O電解水素水)に飲水を施し、22日齢より暑熱感作を6日間行った。その結果、十二指腸の絨毛の長さは24:H_2O区と比較し32:H_2O区で有意に短くなったが、32:H-H_2O区では有意な差はみられず、一方、陰窩の長さは24:H_2O区と比較して32:H_2O区で長く、また32:H-H_2O区では短くなる傾向がみられた。このため、絨毛/陰窩の比率は、24:H_2O区と比較して32:H_2O区で有意に低下したが、32:R-H_2O区、32:H-H_2O区では有意な差はみられなかった。本験結果より、慢性暑熱曝露による絨毛、陰窩の長さは、還元水、水素水によって改善される可能性が示された。さらに、浅胸筋におけるタンパク質分解関連遺伝子発現を解析したところ、μCalpain、Ubiquitinは24:H_2O区と比較して、32:H_2O区で上昇傾向にあったが、32:R-H_2O区、32:H-H_2O区でその上昇は抑えられる傾向にあり、暑熱感作によってタンパク質分解は促進されるが、還元水・水素水給与によって分解シグナルが抑制されていることが考えられた。なお、ブドウ種子ポリフェノール(OPC)水、グルコース水、CoQ10水の単体投与による暑熱ストレス緩和効果が認められなかったため、試験水による増強効果について今後の課題とした。
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