研究概要 |
細胞だけで任意の立体構造体を作成するシステムを応用し作成した自己由来の軟骨細胞および間葉系幹細胞からなる細胞構造体で,マイクロミニピッグ(以下MMP)における膝関節半月板切除部位を置換へ移植し,関節切開を行わない半月板損傷モデルの有効性と組織再生を検証することを目的とした。 <方法> MMPの頸部より皮下脂肪組織を採取し,脂肪細胞由来間葉系細胞を単離,培養した後,細胞塊であるスフェロイド形成を誘導した。そのスフェロイドを直径4mmの円柱状に配置し,移植用の立体構造を作成した。MMP2頭の両膝関節に関節切開を行わず,脛骨近位骨端から関節面に向かい直径4mmの骨軟骨および半月板欠損を作成し,立体構造体に配置した移植細胞塊をそれぞれ片方の欠損部へ移植した。もう片方の欠損部位は無移植とした。移植後2カ月間は創外固定により膝関節の免荷を行い,移植細胞の安定化を図った。モデル作製後は通常の飼育状況により観察し,6カ月後にMRI検査と剖検にて移植部分の評価を行った。 <結果> 1)MRI検査;半月板欠損部位は再生による修復所見は確認されず,欠損によるものと考えられる所見が確認された。 2)剖検所見;半月板欠損部位には組織の再生は確認されず,欠損部のサイズは変化していなかった。 3)組織学検査結果;半月板欠損を作製した部位で,大腿骨関節面の軟骨変性が確認された。 以上のことより MRI検査によりMMPの半月板の評価が可能であり,また,MMPにおいて皮下脂肪組織から移植細胞を単離・培養することが可能であることが確認できた。しかし,今回作製した立体構造移植塊ではスフェロイド接着が不十分であり,そのことが組織再生を阻害した原因と考えられた。一方,半月板の部分欠損モデル作製において,関節切開を用いない疾患モデルの作製が可能であり,膝OAモデルとしての有効性が示唆された。
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