研究概要 |
本研究は、これまで植物で未同定のアスコルビン酸輸送体遺伝子の新たな探索法を考案し、その候補を得ることである。そのためにシロイヌナズナアスコルビン酸欠乏vtc2変異体を研究材料に、二次元クロロフィルイメージングと銀染色の組み合わせによるハイスループットなアスコルビン酸輸送変異体候補スクリーニング法を考案した。具体的には、初めにvtc2変異体は低い非化学的消光(NPQ)値を示すが、アスコルビン酸処理によりNPQ値は野生株と同等にまで回復することを確認した。次に、EMS変異原処理をしたアスコルビン酸欠乏変異体の自殖M2種子約20,000個から、目的のアスコルビン酸輸送変異体候補を2つ得た。現時点で、これら候補変異体について戻し交配を進めており、ラフマッピングと同時に次世代DNAシーケンサーによる原因遺伝子の同定を進めている。また、遺伝子発現情報に基づいたアスコルビン酸輸送体候補遺伝子の探索についても解析をすすめ、マイクロアレーデータより絞り込んだ9つの候補遺伝子、および葉緑体プロテオミクスデータから取得した9つのタンパク質遺伝子について、シロイヌナズナT-DNA挿入変異体を入手し、アスコルビン酸取込み能およびクロロフィル蛍光パラメーターを指標に評価を行い、これまでに3つの遺伝子について可能性が高いことを突き止めた。このほか、当初の計画にはなかったが、イネの輸送体候補遺伝子約1500を対象に酵母発現ライブラリーを構築し、アスコルビン酸輸送体候補遺伝子のポジティブスクリーニングを開始した。
|