研究課題/領域番号 |
22659006
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
原島 秀吉 北海道大学, 大学院・薬学研究院, 教授 (00183567)
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研究分担者 |
梶本 和昭 北海道大学, 大学院・薬学研究院, 特任准教授 (10416216)
林 泰弘 北海道大学, 大学院・薬学研究院, 特任助教 (30548178)
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キーワード | スイツチ / 遺伝子デリバリー / KALA / 細胞内シグナル / 樹状細胞 / DNAワクチン |
研究概要 |
DNAワクチンを開発する上で、樹状細胞への遺伝子導入法の確立は重要な課題である。我々は、遺伝子送達を可能とするための基盤技術として、遺伝子とポリカチオンからなる凝集体コアを脂質エンベロープによって封入した多機能性エンベロープ型ナノ構造体(MEND)を構築してきた。その中でも、pH依存的に膜融合性を示すKALAペプチドを修飾したMEND(KALA-MEND)は、従来から開発してきたオクタアルギニン(R8)修飾MEND(R8-MEND)と比較して極めて高い遺伝子発現を示した。細胞内動態比較の観点から、細胞内への取り込み量や核移行量をリアルタイムPCRを用いて解析を行ったが、両者の間に大きな違いは認められなかった。このことから、KALAには、樹状細胞の細胞膜表面上の何らかの分子に相互作用し、スイッチを押すことで、細胞内シグナルパスウェイを活性化し、最終的に転写過程を活性化するのではないかと考えた。マイクロアレイを用いてKALA-MEND及びR8-MENDトランスフェクション時のmRNA発現変動を解析した結果、KALA-MENDトランスフェクション群において遺伝子発現レベルの大きな変動を示すことが明らかとなった。また、転写に関連する遺伝子群に着目した結果、KALA-MENDにおいては、STAT1やNKkBなどの遺伝子が促進しており、また、使用しているプラスミドDNAのプロモーター配列にこれらの結合配列が含まれるため、KALAは細胞に何らかの刺激を加え、転写活性化を誘起することが示唆された。
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