研究課題/領域番号 |
22659009
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
高倉 喜信 京都大学, 薬学研究科, 教授 (30171432)
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研究分担者 |
西川 元也 京都大学, 薬学研究科, 准教授 (40273437)
高橋 有己 京都大学, 薬学研究科, 助教 (00547870)
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キーワード | 遺伝子発現 / 肝臓 / 転写因子 / 非ウィルスベクター / 物理刺激 |
研究概要 |
治療タンパク質を"必要に応じて繰り返し"発現させる「オンデマンド型遺伝子治療システム」の実現を目的に、遺伝子発現再活性化のためのシグナルの探索を行った。大容量の等張溶液を急速に静脈内投与するハイドロダイナミクス法(HD法)により一過性発現型plasmid DNA (pDNA)を用いて遺伝子導入したのち、等張溶液をHD法に準じて投与することで、低下した発現が再上昇する遺伝子発現再活性化現象がみられること、この再活性化現象には転写因子AP-1やNF-κBの活性化が関与することを既に報告している。これらの転写因子を活性化する代表的な要因として炎症性サイトカインと活性酸素が挙げられることから、再活性化に及ぼす炎症性サイトカイン及び活性酸素の影響について検討した。HD法によって炎症性サイトカインであるインターロイキン6(IL6)が産生されることを見出したが、その産生細胞であるマクロファージを除去した場合にもHD法による再活性化現象は認められた。また、リポポリサッカライドを投与することでIL6の産生を増大させた場合には再活性化は起こらず、IL6の関与はほぼ否定された。一方、活性酸素を消去するカタラーゼあるいはN-アセチルシステインの投与によりHD法による再活性化は抑制され、その一方で、四塩化炭素の投与により活性酸素を発生させることで再活性化が認められた。従って、活性酸素レベルの制御が、オンデマンド型遺伝子治療システムの実現には有望であることを示した。
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