研究概要 |
キネシン-1はKIFファミリーの中で最初にイカの巨大軸索で見いだされた順行性輸送をになうモーター分子であり、2つのキネシン重鎖(KHC)と2つのキネシン軽鎖(KLC)からなるヘテロ4量体を形成している。モータードメインを持つKHCは微小管に結合しKLCはカーゴおよびカーゴ受容体に結合する。生物物理学的な解析から、キネシン-1が微小管上を移動する仕組みは解析が進んでいるが、細胞内でどのように活性化されカーゴを選択するのかは未解明の部分が多い。KHCとKLCは不活性状態で結合しており、活性化の分子機構も未解明である。AlcadeinはKLCに高親和性結合する事により、キネシン-1モーターを活性化するカーゴ受容体である(EMBO J.[2007]26,1475-1486)。本研究では、Alcadeinによりkinesin-1モーター活性化の仕組みの解明に取り組んだ。Alcadeinだけでkinesin-1を活性化出来るかを、キネシン-1の微小管結合能を測定する事で検討した。予備的な解析として、微小管結合能を持つKHCにKLCを加えると不活性化が生じる事を確認後、AlcadeinのKLC結合領域を含む細胞質ドメインを加え活性化を誘導出来るかどうか検討した。その結果、Alcadein細胞質ドメインの極めて短い配列がキネシン-1モーターを活性化出来ることを実証し、論文として発表した(Kawano,T.,(4名略)and Suzuki,T.(2012)A small peptide sequence is sufficient for initiating kinesin-1 activation through part of TPR region of KLC1.Traffic13,834-848.)。
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