研究課題
心臓型脂肪酸結合蛋白質(H-FABP)はマウス脳では帯状回皮質と海馬の神経細胞に高発現し、線条体ではドパミン神経伝達調節に関与している(J Neurosci,2010;30:3146-3155)。私達はH-FABP欠損マウスが認知行動と情動行動の障害を起こすことを見出した。しかし、H-FABPによる多価不飽和脂肪酸調節の脳機能に与える影響については不明である。本研究ではH-FABP欠損マウスを用いてアラキドン酸、DHA給餌制限による認知機能、情動行動に与える影響を調べた。H-FABP欠損マウスに生後授乳期から3ヶ月に渡って、アラキドン酸/DHA欠乏食、アラキドン酸含有食、DHA含有食を与えた。その後、認知行動と不安様行動について検討した。新規物体認識試験ではアラキドン酸/DHA欠乏食群に比べて、アラキドン酸含有食群とDHA含有食群では有意に認知機能行動が改善した。一方、高架式十字迷路試験ではアラキドン酸含有食群において顕著な不安様行動の軽減が観察された。認知機能改善および抗不安様作用に一致して、海馬でのカルモデュリン依存性プロテインキナーゼIIとプロテインキナーゼC活性の亢進が認められた。今後は、アラキドン酸代謝と認知機能改善および抗不安作用との関連について解析する。次に、H-FABP結合によるドパミンD2受容体機能調節について神経芽腫細胞Neuro2Aを用いて解析した。D2(long型)(D2L)受容体を恒常的に発現する安定発現Neuro2A細胞にH-FABPを過剰発現した結果、細胞外シグナル活性化キナーゼ(ERK)活性の亢進が認められた。D2L受容体の細胞内トラフィキングには影響せず、細胞内に局在するD2L受容体の関与が示された。今後はERKの活性化機構と生理的役割について明らかにする。
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