研究課題/領域番号 |
22659015
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
堅田 利明 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 教授 (10088859)
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研究分担者 |
梶保 博昭 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助教 (70401221)
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キーワード | シグナル伝達 / G蛋白質 / Gサイクル / ゲノムプロジェクト / mRNA動態 / Processing body |
研究概要 |
高等真核細胞の遺伝子発現においては、転写調節に加えて、mRNAの動態と代謝の制御が重要であり、mRNAの翻訳や安定性の調節には、mRNA上の特定の配列(例えば、AU-richなシスエレメント:以下AREと略記)及びmRNAに結合する蛋白質(トランス因子)が重要な役割を果たしている。最近の研究から、mRNA分解酵素やmiRNA切断酵素などの多様なmRNA代謝に関わる因子群はProcessing body(P-body)と呼ばれる球形構造体に凝集していることが明らかとなり、mRNAの翻訳抑制や分解などのmRNAプロセシングは、P-bodyにおいて積極的に進行すると考えられるようになった。しかしながら、高等動物細胞において、P-bodyがどのように形成され、P-bodyの動態が細胞環境に応答してどのように変動するか、さらに、P-bodyの動態変動とmRNAの局在変化との関連についての解析は、ほとんど進展していない。 昨年度、われわれは、低分子量G蛋白質RhoAの活性化に伴い、P-bodyが小型化し、その数が増加すること、さらにRhoAの活性化によって、ARE-mRNAのP-bodyへの局在化および分解が抑制されることをそれぞれ見出した。 そこで本年度は、RhoAをノックダウンした細胞におけるP-bodyの動態およびARE-mRNAの分解を検討することにより、本反応に対するRhoAの要求性を検証した。その結果、1.RhoAのノックダウンに伴い、P-bodyの形成量は、顕著に減少した。2.TTPの細胞内量は顕著に減少した。3.ARE-mRNAの速やかな分解は顕著に抑制された。以上のことから、RhoAはP-bodyにおけるARE-mRNA分解に必須の因子である可能性を提示できた。
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