プロテオグリカンはグリコサミノグリカン鎖によって修飾された糖タンパク質であり、その機能発現には糖鎖が重要である。プロテオグリカンの品質維持のためには糖鎖修飾を管理しなければならないが、その機構は明らかではない。我々の研究は、プロテオグリカンの品質を維持する品質管理機構の存在とその仕組み、また、システムの動作不良が細胞や個体にどのような影響を与えるかについて理解することを目的としている。我々は、グリコサミノグリカンの合成に関連するが、機能の明らかでない2種の酵素、EXTL2とFamily with sequence similarity 20 member B(FAM20B)を独自にクローニングしており、これらの酵素がプロテオグリカンの品質管理に働く可能性を検討することで、プロテオグリカンの分泌や分解を司る新たな機構を発見できると考えている。 昨年度はFAM20Bの機能解析を行い、FAM20Bはリン酸化酵素であり、FAM20Bの発現量によりグリコサミノグリカン鎖の本数が制御され、グリコサミノグリカン鎖の量が調節されていることを明らかにした。本年度は、もう一つの酵素EXTL2のノックアウトマウスのグリコサミノグリカン鎖を解析し、EXTL2がプロテオグリカンの品質管理に働く可能性を検討した。その結果、EXTL2のノックアウトマウスは野生型に比ベグリコサミノグリカン鎖の量が増えており、EXTL2が存在しないとより多くのプロテオグリカンが細胞に蓄積していることが判明した。さらに、そのプロテオグリカン上に存在するグリコサミノグリカン鎖の構造を解析すると、リン酸化された短いグリコサミノグリカン鎖が存在することが明らかとなった。
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