研究概要 |
本申請研究は、アプタマーを真の次世代の抗体医薬にすべく、極めて強力な殺細胞活性を有する化合物を、非共有結合的にアプタマーに搭載した分子を創製するもので、完全な抗体機能を有する人工低核酸分子抗体の開発を目指すものである。本年度は、2本鎖DNAに搭載するビスインターカレーター天然物であるキナルドペプチンの全合成研究を行った。ピペコリン酸、ジアミノブタン酸、グリシルサルコシンを用いたペプチド固相合成法により鎖状デカペプチドを合成した。N,C-両末端の保護基を除去して得られるペプチドに対して、大環状ラクタム化反応を行い、最後に、クロモフォアーである3-ヒドロキシキナルジン酸を導入してキナルドペプチンの初の全合成を達成した。また各種誘導体も同様の手法にて合成した。キナルドペプチンがDNAにインターカレートした際に、クロモフォアの蛍光が消光することを利用して、2本鎖DNAに対するキナルドペプチンの結合能を測定した。その結果、配列選択性は見られないものの、高い結合能(Kd=1.45-2.58x10-7 M)を示す事がわかった。またキナルドペプチンは、スーパーコイルDNAの弛緩と、高濃度での再コイル化活性を示した。最後に前立腺がん細胞表面に特異的に発現している抗原(PSMA)のリガンドを結合した2本鎖DMにキナルドペプチンを結合させて、人工低分子核酸抗体を作成することができた。現在各種生物活性評価を行っている。
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