研究課題
(1)、細胞障害性T細胞由来ips(T-ips)細胞の樹立研究初年度である本年は、がん抗原あるいはウイルス抗原に特異的な細胞障害性T細胞由来ips細胞の樹立を試みた。テトラマー法あるいは抗原ペプチド刺激によるサイトカイン補足法によって抗原反応性細胞をフローサイトで単離することができた。抗原非特異的なCD8 T細胞、各種のがん抗原あるいはウイルス抗原に反応性のある新鮮分離CD8 T細胞、繰り返し抗原刺激によって得られたCD8 T細胞、ペプチドによるクローン化済みCD8 T細胞などをソースとして、各種ウイルスベクターによる山中因子導入を行い、CD8陽性T細胞をリプログラミングするために必要な因子と培養条件を絞り込んだ。しかし現時点では新鮮CD8 T細胞を用いてもリプログラミング効率が0.001%程度であり、少数の抗原特異的CD8 T細胞から確実にips細胞を樹立するための手法を引き続き開発する。(2)、TCR遺伝子再構成を持つT-ips細胞からの細胞障害性Tリンパ球の誘導抗原非特異的な手法で得られたT-iPS細胞をソースに、in vitroならびにin vivoの双方の系を用いて成熟分化T細胞を得ることを試みた。in vitroにおいて、既報ではES細胞をCD4/CD8両陽性T細胞より先の成熟段階に分化誘導することは困難とされているが、サイトカインとフィーダーの最適化により、CD4あるいはCD8陽性のT細胞分画を得ることが出来た。また、in vivoにおいてNOD/JAK3(-/-)マウスをレシピエントとすることで、ヒト胎児胸腺を用いずにCD4あるいはCD8陽性のT細胞分画を得ることが出来た。現在はこれらの細胞の機能解析を行うとともに、抗原特異的CD8 T細胞に由来するips細胞をソースに成熟分化T細胞の誘導を試みている。
すべて 2011 2010
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件)
J Biol Chem
巻: 11 ページ: 4760-71
Oncogene
巻: 29 ページ: 4157-69
Curr Opin Hematol
巻: 17 ページ: 271-5
Cell
巻: 3 ページ: 787-99
J Exp Med
巻: 20 ページ: 2817-30
PLoS One
巻: 23 ページ: e14099