研究概要 |
目的は,受精卵発生初期の組み換え修復機構に注目し,その存在を明らかにするとともに,修復機構エラーによる疾患発症のメカニズムを明らかにすることを目的とする。様々な示唆的なデータから親子による遺伝情報(DNA)の受け渡しに際して,受精直後のDNA修復機構の関与により片親性ダイソミー(UPD)が発生するのではないかと考えた。本年度は,非疾患親子トリオDNA解析を行い,UPDを検出出来るかを検証した。 インフォームドコンセントを得た後に,疾患をもたない親子トリオ3例からDNAを採取し,Affymetrix社のHuman Whole Genome SNP 6.0を用いて約90万個のSNP genotypingを全ゲノムについて行った。AA x BB=AA or BB,AA x AB=BBとなる組み合わせがinformativeにUPDと疑われるので,これらの組み合わせを選択し,アレイdataでアレル欠失がないことを確認した。 遺伝子型決定の間違いによることが最も考えられるので50kb以下に2箇所以上UPD suggestiveであった場合に実際にcapillaryシーケンサーで確認した。シーケンサーによる確認でもUPDが疑われた場合には,リアルタイムPCRにより欠失がないことを確認した。これまでに5箇所以上の微少UPDを見つけた。 これらの結果は,疾患とは関係なく微少UPDが発生していることを示唆しており,来年度以降にUPDの範囲,UPD発生の頻度等を明らかにしたい。
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