研究概要 |
ヒト組織中に変異や細胞死を起こす可能性のある修飾核酸について、どのようなものが、どのくらいあるのかについての基礎dataを得るために、ヒト剖検時に得られた各種臓器、心、肺、肝、腎、腸などからDNAを抽出し、マイクロコッカスのnucleaseで処理後、LC-MSMSにより、m/z別に化合物種を分離した。標準品として、既知のDNA付加体を、また量的妥当性については、生成機序の似ている付加体同士の相関、あるいは広く存在し、量的な情報も多い付加体(8-OHdG)のbpあたりの個数などを比較勘案した。標準品がないものが多く、多数あるピークのうち同定できている付加体はごく一部であるが、過酸化物由来と思われるDNA付加体を同定することが可能であった。 臓器別、また、個体別に特徴があり、共通の酸化的DNA障害により生ずる付加体の量についてはほぼ比例関係があるので、この判定量的な結果の信憑性が確認された。これらの結果については専門誌の表紙にとりあげられた。 これらの一部、4-ONEと4-OHEに関連する付加体HedC, HedG, BedC, BedGについては合成して、oligonucleotideの中に1塩基導入できた。次に、これらを基質として8種類の塩基除去修復酵素OGG1, NTH1, MUTYH, NEIL1, MPG, UNG, TDG, SMUG1について大腸菌でタンパクを作成し、上記基質に対し、修復能があるかどうかをゲルシフトアッセイで検討した。 その結果、いくつかの付加体の対側の塩基を除去する能力を証明できたTDG(Thymidinedeoxyglycosylase)については、その高発現細胞株の作成をはじめた。
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