研究概要 |
がん幹細胞の高純度精製システム樹立を目的として、ヒトSox2及びOct4遺伝子プロモーター領域において種間で保存された領域をクローニングし、その下流にルシフェラゼーゼ遺伝子を組み込んだベクターを作成した。これらのベクターをヒト乳がん細胞株MCF-7,T47D,MDA-MB-231細胞に遺伝子導入し、Sox2及びOct4の遺伝子発現量と比較を行った。幹細胞特異的転写因子のプロモーターの活性は、実際の遺伝子発現のレベルと相関性が認められた。さらに、ルシフェラーゼ遺伝子を蛍光蛋白遺伝子GFPと置換した場合、遺伝子導入した細胞の一部に蛍光蛋白の発現が認められた。現在、蛍光蛋白陽性細胞を分離し、解析を行っている。更にプロモーターにエンハンサー領域を組み込みこんだベクターの解析をすすめている。更に、幹細胞特異的転写因子の1つであるKLF4を検出するシステムの構築をおこなった。KLF4結合領域を含むヒトlefty1プロモーターをクローニングし、ルシフェラーゼ遺伝子の上流に組み込み、Cos7にヒトKLF4存在、非存在下で活性の解析を行った。また、KLF4を強く発現しているHela細胞に構築したベクターおよび、KLF4結合領域を欠落しているベクターを遺伝子導入した。その結果、KLF4依存的なプロモーター活性の増加が認められた。マウスlefty1にも同様な配列が存在することから、現在作成したベクターの詳細な解析を行っている。
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