研究概要 |
幹細胞を高純度に精製する新たなシステムの樹立を目的として、平成22年度に行ったSOX2,OCT4,KLF4に対するレポーターベクターの作製を、平成23年度も引き続き行った。上述の幹細胞特異的転写因子の遺伝子発現調節領域及び転写因子結合領域を用いてベクターの作成を行い、遺伝子の発現量と相関性のあるSOX2プロモーターの活性が高い細胞集団を乳がん細胞株MCF-7より分離したところ、幹細胞形成能を解析するアッセイの1つsphere formationでは、コントロールと比較して高いsphere形成能を示した。またこの細胞集団では、SOX2プロモーター領域に結合領域が存在するが、SOX2発現調節については未報告の転写因子の発現が上昇していた。現在、SOX2プロモーターに対する影響を解析中である。さらに、SOX2プロモーターに結合する因子の同定をTOFF-MASS解析により行っている。更にCMV miniプロモーターの上流に、ヒトLEFTY1遺伝子プロモーター領域に由来するKLF4結合領域を挿入し、KLF結合部位を複数回含むベクターを作成した。KLF4結合領域に変異を導入したコントロールではKLF4への応答性は認められず、一方、作成したベクターはKLF4依存的にルシフェラーゼ活性を誘導した。現在、ルシフェラーゼ遺伝子をptdTomatoなどの蛍光遺伝子と置換し、がん細胞株よりKLF4発現集団の分離を行っている。
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