研究課題/領域番号 |
22659081
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
岡田 則子 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (20160682)
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研究分担者 |
今井 優樹 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 講師 (30440936)
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キーワード | エンドトキシンショック / 補体 / アナフィラトキシンC5a / 全身性炎症反応症候群 |
研究概要 |
ヒトのC5a阻害ペプチドAcPepAを相補性ペプチド創出技術で創出しており、C5a活性阻害示すことを確認して来た。今回は12種の新規C5a相補性ペプチドを設計し、これらの相補性ペプチドの活性測定を行った。プラズモン磁気共鳴検出装置BIAcoreを用いて、C5aに特異的に結合反応を示すかを検討したところ、amidePep11及びその関連ペプチドであるT3713-6、T3713-8が今までの相補性ペプチドと比較しても顕著にC5aと結合し、その結合定数は約10^<-5>とペプチドとしてはかなりの高値であった。次に、新規相補性ペプチドがC5aの機能を阻害するかどうかを、ヒト好中球を用いたカルシウムシグナルの阻害効果で検討したところ、amidePep11はC5a刺激によるCa2+流入を著しく阻害することができた。現在in vivoモデルにおける阻害効果を検討中である。一方、C5aの機能阻害活性を解析するために、ヒト末梢血におけるC5aレセプターの発現を調べたところ、単球においてC5aR,C5L2の2種類のC5aレセプターが発現しているが、T細胞及びB細胞には発現していないことが分かった。また、ラット好塩基球細胞株RBL-2H3におけるC5aレセプターの発現は昨年報告したとおり、C5aR及びC5L2を発現していた。細菌感染時にC5aレセプターの発現が増強するのではないかと考え、LPSでRBL-2H3細胞を刺激したところ、C5aR及びC5L2の両C5aレセプターの発現が増強されることが明らかとなった。また、ウイルス感染モデルとしてpoly-ICで刺激を行ったところ、LPSと同様にC5aR及びC5L2の両C5aレセプターの発現が増強されることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新規C5a相補性ペプチドを設計したところ、プラズモン磁気共鳴検出装置BIAcoreにおける解析で今まで創生したAcPepAよりもC5aに特異的に結合反応を示すペプチドを少なくとも3種類見いだせた。また、C5aの第2受容体であるC5L2の機能解析も進んでおり、概ね順調であると考える。
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今後の研究の推進方策 |
C5a阻害ペプチドが、ラット実験系において抗炎症作用を発揮できるかを検証し、さらに炎症性サイトカインの活性を阻害できる相補性ペプチドを新たに設計して、抗炎症作用の基礎的な作用機序を解明する。今年度は特に、脳疾患における代表的なモデルであるラット脳虚血再灌流モデルについてもC5a相補性ペプチドが有効であるかを、動物の延命効果の他、病態のクリニカルスコア、TNF、MIF、IL-1、IL-6及びHMGB1等炎症性のサイトカイン濃度で比較検討する。
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