研究概要 |
C5a 阻害ペプチドがラット実験系において、抗炎症作用を発揮できるかを検証するため、まず、ラット組織における2つのC5a受容体の発現をRT-PCRで行った。C5aRは、SpleenとThyroidで主に発現している一方、C5L2は、Spleen,Kidney,Testis,Thyroid,Large intestine,Blood,Lungで発現していることが確認できた。 合成したC5a相補性ペプチドの阻害活性が脳疾患における代表的なモデルであるラット脳虚血再灌流モデルで有効であるかどうかを検討した。C5a 相補性ペプチドAcPepAを投与した群はクリニカルスコアを有意に抑制した。また、延命効果も見られた。しかしながら、TNF、MIF、IL-1、IL-6等のサイトカインを蛍光ビーズ法により測定したところ、差は見られず、ELISA法で測定したHMGB1も同様であった。さらに脳の組織学的評価をH.E染色およびKluver-Barrera染色で行ったが、正常ラット脳と比較すると脳虚血再灌流ラットにおいて虚血性変化は起こっているもののC5a相補性ペプチド投与群においてその変化が減弱していることは確認できなかった。 新規合成したC5a相補性ペプチドのラットC5aに特異的に結合するかどうかを調べるため、まずラットC5aは遺伝子組み換えラットC5a の作製を試みた。ラット肝臓からmRNAを採取し、PCRで増幅後クローニングを行い、ラットC5a配列を決定した。その後大腸菌発現ベクターに組み込み、ラットC5a発現ベクターを作製した。同様にラットC5aの不活化型であるC5adesArg発現ベクターも作製した。
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