研究課題/領域番号 |
22659083
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研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
伊藤 亮 旭川医科大学, 医学部, 教授 (70054020)
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研究分担者 |
岡本 宗裕 京都大学, 霊長類研究所, 教授 (70177096)
岡本 芳晴 鳥取大学, 農学部, 教授 (50194410)
今川 智敬 鳥取大学, 農学部, 教授 (20232605)
中谷 和宏 旭川医科大学, 動物実験施設, 准教授 (70109388)
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キーワード | エキノコックス症 / 多包虫症 / 温熱療法 / 画像診断 / 抗体応答 / 病理学的解析 / 新しい肝病巣作製法 |
研究概要 |
画像診断を加えた温熱療法による多包虫症の新しい治療方法の開発を目的としたラットの肝左葉横隔膜面下縁部に限局した多包虫症病巣の作製が初年度の研究であった。 当初、旭川医科大学で開発した多包虫組織ホモゲナイズの経門脈接種法による方法では病巣が肝表面全域に散在してしまうため限局的な病巣形成は不可能と判断されていた。そこで、肝左葉表面に上記の感染源を直接微量接種してみたところ、肝内圧のため接種部位から腹腔内へ漏出、あるいは中心静脈を介して肺へ転移する現象が確認された。この過程で経時的な画像記録と採血を実麓したところ、肺転移を起こした症例では抗体応答性が非常に高くなる現象が新たに確認された。それ自体、興味ある成績であり、現在、論文作成を準備中である。しかしこれまでの術式では今後肝臓の特定の部位、特に画像所見を得やすい部位への安定した病巣形成が著しく困難であると結論された。 その後の試行錯誤の結果、確実に所定の位置に病巣を作製できる方法が開発された。具体的には、全身麻酔下で腹部正中を切開して開腹後、肝左葉の先端一部を露出させ、メスで肝臓表面に約5mmの切開創を作製してあらかじめ準備しておいた多包虫の嚢胞(直径1-3mm)1個を切開創に包埋移植した。止血と嚢胞の腹腔内流出阻止のために、止血シート(5mm角)で切開創を被覆した。この結果全例に於いて、移植部位での嚢胞の生育をMRIで経時的に追跡できた。また、肺や腹腔内の他の部位での嚢胞の発育も全く認められず、本法は所定の位置に多包虫症病巣を作製する上で極めて有用な方法であることを確認した。この所定の位置に限局される病巣形成は世界でも初めての試みであり、新しい肝病巣作製実験系を確立できたことになる。この病巣作製実験系についても合わせて現在、論文を準備中である。
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