研究概要 |
インターフェロン-γが活性化する免疫機構の全貌解明のため、網羅的RNA干渉(RNAi)スクリーニングを行ない、病原細菌の感染防御に重要なインターフェロン-γの下流エフェクターの同定を本研究の目的とした。従来のRNAiライブラリーとは異なり未知遺伝子を含み、全IFN誘導性タンパク質(~1,300種類)を網羅するRNAiライブラリーを新規作成方法により構築した後、RNAiスクリーニングにより細菌感染の防御に重要なインターフェロン-γ誘導性タンパク質を同定することで、インターフェロン誘導性免疫の全貌解明を目指した。当初予定していた以上にRNAiスクリーニングの条件検討に時間がかかり、平成23年度の研究により細菌感染の防御に重要なインターフェロン-γ誘導性タンパク質を同定するまでに至らなかったが、その過程で、本研究によりオートファジーと呼ばれる細胞の自己消化機構がインターフェロン-γ刺激したマクロファージで活性化され、この活性化にp38 MAPKが重要であること(論文投稿中)、さらに、このp38 MAPKを介したIFN-γのオートファジー活性化作用が細胞内寄生菌の殺菌に関わる事(論文投稿準備中)を明らかにした。インターフェロン-γにより活性化したマクロファージは病原体の排除のみならず、腫瘍細胞に対する作用も増強し、マクロファージの活性化メカニズムは広く免疫学に重要である。以上のことより本研究により免疫学上価値のある知見が得られたと考えられる。
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