研究概要 |
平成23年度はI型インターフェロン(IFN)シグナル伝達経路の3つの過程に位置する分子を特異的に阻害するshRNAs、あるいはDominant negative (DN)ミュータントを作成した。 1)ウイルスの検出、及びIFNの産生の阻害:RIG-I,IKKe,IRF7,IRF3 2)IFNによるIFN-stimulated genes(ISGs)の誘導阻害=IFNAR1,IRF9 3)抗ウイルス作用を担うISGの阻害:PKR,RNaseL それぞれのコンストラクトは各標的分子の作用を特異的に抑制することを、293FT(ヒト胎児腎臓細胞)に一過性に発現させ確認した。次にそれらのコンストラクトをiPS細胞に遺伝子導入して安定株の樹立を試みたが、一過性の発現は得られたもの安定株の樹立ができなかった。そこで、一過性の発現ではなく、効率よく安定株を樹立できるプラスミド・コンストラクトを検討した。EGFP、ピュロマイシン発現ユニットの位置、ウイルスLTRの有無等を変え、293FT細胞、及びインフルエンザ感染実験でよく用いられるA549(ヒト肺胞上皮細胞)を使って、これらのshRNA, DNニュータントを発現する安定株の樹立をおこなった。shRNAの発現に関しては、U6プロモーター-shRNA/PGKプロモーター-ピュロマイシン耐性遺伝子のみを発現させる最小限の構造が最も効率良く、安定株を得ることができた。DNミュータントの発現に関しては、全体のユニットをレトロウイルス由来のLTRで挟み、iPS細胞でも強力な発現活性を維持できるEF1-□プロモーター-DNミュータント-IRES-GFP/PGKプロモーター-ピュロマイシン耐性遺伝子とつないだコンストラクトが、より効率よく安定株を作成できた。現在、これらのコンストラクトをiPS細胞に導入して安定株を作成中である。
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