研究概要 |
インターフェロン(IFN)シグナル伝達系が阻害された細胞株を樹立することでウイルスの感染、増殖、生存が容易である環境を作り、特に分離が困難な新興・再興感染ウイルスハンティングへの道を開くことを目的とした。IFNシグナル伝達系を阻害するためにその経路に重要な種々の伝達因子のdominant negative変異体や特異的なshRNAを作成し293 T細胞を用いてその効果を確認した。また最終的な目標であるiPS細胞を用いた系への応用を図った。 1)IRF-1, IRF-3, IRF-7, IRF-9, PKR, RNaseL等のDN変異体を作成し、293T細胞に一過性に発現させ、内在性の各分子の機能を抑制することを確認した。また、shRNAの特異的なノックダウン効果も293T細胞への一過性発現実験で確認した。 2)EF1プロモーターを使って作成したこれらのDN変異体プラスミドを一過性にiPS細胞に導入し、iPS細胞内で機能することを確認した。 3)一般の培養細胞(HeLa細胞、293T細胞等)で効率よく安定株を樹立できるDN変異体発現プラスミドshRNAプラスミドが構築できたので現在、これらの発現プラスミドのiPS細胞への導入を行っている。iPS細胞で一旦IFNシグナル伝達系が阻害された安定株が得られればいろいろな細胞に分化させることにより細胞指向性の高いウイルスの分離に威力を発揮するので今後もこの研究を継続していく予定である。
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