前年度までに、アフリカの伝統医薬の抗ATL細胞活性物質はtoosendaninであり、2つの異性体、12-acetoxyamnnrastainと29-deacetylsendaninの双方が混在していることが判明した。今回、さらに、抽出物と精製したtoosendaninを用いてその抗ATL細胞活性を比較したところ、抽出物で処理した場合と精製したtoosendaninで処理した場合ではアポトシスの起こり方に差があることが判明した。すなわち、cleaved caspase-3を指標にしてアポトーシスを評価すると、抽出物で処理した細胞で早期にアポトーシスが誘導され、抽出部の中には、toosendanin以外にも抗ATL細胞活性を増強する物質があることが示唆されたが、その物質の特定はできなかった。 in vitroでHTLV-1陽性のS1T細胞、HTLV-1陰性のT細胞株、MOLT-4、CEM、Jarkat各細胞株を使用してその効果を調べたところ、HTLV-1陽性のS1T細胞はtoosendaninに高い感受性を示したが、他のHTLV-1陰性のT細胞株はほとんど細胞障害を示さなかった。 HTLV-1キャリアより末梢リンパ球を採取し、精製したtoosendaninの各濃度でリンパ球を処理してその生存率を調べたところ、S1T細胞は生存できない100nMの濃度でも約20%のリンパ球は生存できることが判明した。長期間の培養でHTLV-1陽性細胞が死滅し、HTLV-1非感染リンパ球のレスキューを試みたが、充分な結果を得ることはできなかった。
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