現在、臨床現場において超音波検査法は必要不可欠な検査として確立されているが、その診断結果は検査者の技術や知識に依るところが大きい。超音波検査法の初学者にもっとも必要な知識は、対象臓器の解剖とされている。また、近年では3D超音波検査法も導入され始め、解剖の理解はさらに重要となっており、解剖学習のための教材の必要性はますます高まっている。本研究では、超音波検査法初学者に適した教材や学習プログラムとして、まず構造が複雑な心臓に対し、ブタの心臓を用いた教育教材の作成、実習方法を考案し、超音波検査実習におけるその教育効果を明らかにし、超音波検査法の初期学習に適した教育法を確立することを目的とした。本年度は特に、既に開発、作成した超音波用心臓模型の問題点である作製時間や経費、複製方法の煩雑さ、耐久性の低さなどを解消するためにCTデータと3Dプリンターによる超音波検査用心臓模型の作製を試みた。既に作成したプラスチネーション処理後のブタの心臓をCT撮影し、そこから得られたDicomデータを、3次元構築したSTIデータに変換し、画像編集ソフトにより、超音波断層像に適した断面に分割後、3Dプリンター(Dimension SST)にて造形する作業が進行中である。 これらの一連の作業は、PC画面の3次元画像を超音波断層像と一致する断面へ分割するなどの煩雑な作業を要するが、一旦構築された画像データを用いれば、模型の作製時間の短縮が期待できる。また、CTデータを画像処理しているため、実物に近似した精度の高い模型が期待できるが、3Dプリンターでの造形サイズの限界から、弁などの繊細なパーツの完成度の低下は否定できない。さらに、作製工程の改善が必要である。
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