2025年には全人口の3人に1人が65歳以上となる超高齢化社会を控えて、その対策が急務となっている。近年の制度の改定でグループホームは地域密着型サービスとして介護、介護予防サービスをともに実施でき、施設と在宅の中間に位置する機能が期待されている。これまで、研究代表者は神奈川県下のグループホームで、行動療法をさらに日常生活全般に拡大した生活能力拡大志向型介護法を4年前から試験的に開始し、通常の介護法を行っている施設に比較して、レトロスペクティブではあるが介護度と認知症の進行が緩やかである、死亡率が低い、運動機能が高く保持される、寝たきりになる率が低い、特別養護老人ホームなど他施設への転出率が低いなどの傾向を確認した。これらに基づき、本研究では、グループホームにおいて、生活能力拡大志向型介護法を施行し、認知症と運動機能障害の進行阻止等に役立つかどうか前向き臨床試験を施行し、その有効性を明らかにする。本年度は生活能力拡大志向型介護法に関する前向き臨床試験の初年度として予定通り神奈川県下におけるグループホームにおいて臨床研究を開始した。これまでのところ、予定通りに研究は施行されており、計画通りに、研究は遂行できている。初年度であるために、統計学的な有意差を得られていないが、通常の介護法より生活能力拡大志向型介護法では、認知症の尺度であるMMSEの低下を抑制し、ADLの悪化に関しても、抑制する傾向があることが確認できている。
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