本研究では、認知症高齢者に対して、生活能力拡大志向型介護法の効果を裏付けるために、通常の介護法を受ける入居者を対照として、運動機能、認知機能等に及ぼす影響について、前向き研究を実施し、生活能力拡大志向型介護法が、認知症高齢者の生活能力の維持向上に有効であるか検討することである。 本年度は研究計画の最終年度として、1)介護状況の定量的評価、2)MMSE(Mini-Mental State Examination)による認知機能評価、介護度認定調査票による運動機能、3)頭部MRI検査による頭蓋内病変、特に脳血管障害の有無や脳萎縮の程度やVSRADによる海馬傍回定量評価、4)脊椎X線検査による腰椎骨密度定量測定、5)一般検査(心電図、胸X線検査、採血検査他)、6)満足度や運営のしやすさなどアンケート調査(家族、介護スタッフ、担当医師)を行い、さらに、各種疾患の発生率、他施設への退所率や死亡率などに関して検討した。 予定通りに研究を行うことができ、現在これらのデータの解析を行っているところである。 本研究により生活能力拡大志向型介護法の効果が明らかになれば、認知症高齢者に対して、新たな介護法を提唱することができ、家族の介護負担を減らすだけではなく、社会的要求にも応えることができ、有意義な研究である。
|