研究課題
現在、インフルエンザの簡易検出キットが幅広く用いられている。その利点は、全ての医療機関で簡単に測定できるところにある。しかし、現在のインフルエンザ検出簡易キットは、A型またはB型の識別のみでA型の亜型の判別は不可能である。A型亜型の判別には、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)法などの遺伝子解析に基づく方法が行われている。しかし、結果が出るまでに時間が掛かり、さらに、特定の機関でしか検査ができない制約がある。そこで、本研究では、A型亜型の簡易同定を目的とし、A型亜型特異的高性能モノクローナル抗体(mAb)の作製を目指した。mAbの作製は、従来からPEG(ポリエチレングリコール)法が用いられているが、この方法は、非特異的融合を惹起するため、抗体産生B細胞とミエローマ細胞が融合して作製されるmAb産生ハイブリドーマの作製効率が非常に低いことが知られている。本研究では、その欠点を是正するため、私達が開発した「次世代ハイブリドーマテクノロジー」に基づく抗体作製を試みた。平成22年度に引き続き、3種のインフルエンザウイルスであるA新型(H1N1)、Aソ連型(H1N1)、A香港型(H3N1)のそれぞれをマウスに投与して免疫化を行った。マウスを麻酔後、その眼窩静脈叢から採血を行い、マウス抗血清を調製して、HI(赤血球凝集抑制試験)法に基づき各抗血清の亜型特異性を検証した。その結果、3種の抗血清は各亜型特異性を有していた。そこで、次世代ハイブリドーマテクノロジーを利用したモノクローナル抗体作製を検討した。その原理は、1)抗原によるB細胞選択、2)ビオチン/アビジン間の特異的かつ高い親和力を利用した抗原選択B細胞とミエローマ細胞との架橋形成、3)矩形波電気パルスによる架橋形成した両細胞の選択融合からなる。その結果、幾つかの有望な目的のmAb抗体産生ハイブリドーマを得ることができた。
(抄録なし)
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