抗体チップは小型の基板に多数の抗体を固定し、試料中の抗原を網羅的に検出するツールである。現在は研究用製品を中心に開発・販売されているが、今後需要の増加が見込まれる。その核となる技術は抗体の固定方法や抗体に結合した抗原の検出方法で、様々な技術改良がなされている。本研究の目的はダイアモンド様表面加工特殊基板にタグ付蛋白を結合させる技術を利用し、産業的に大きな波及効果が期待できる高感度次世代型抗体チップの開発を行うことである。平成24年度は組換え型タグ付抗体の基板固定とタグ付抗体大量生産システムの開発を行った。 1.組換え型タグ付抗体の基板固定 培養細胞発現系でタグ付抗体発現ベクターをトランスフェクションし、培養上清を回収して組換え型抗体を作製した。得られた抗体の活性をELISAで確認し、濃度はBradford法で測定した。純度の検定はSDS-PAGEとNative-PAGEで行った。その結果、少量であるが純度の高いタグ付抗体が得られた。基板に作製した抗体をスポッティングし、免疫蛍光抗体法で抗体の固定状態を評価した。 2.タグ付抗体大量生産システムの開発 1.の結果実用化を目指した研究開発の遂行には純度の高いタグ付抗体を大量に作製する必要があることが確認された。よって、タグ付抗体安定発現細胞株の樹立を行った。今後、樹立した細胞を材料として研究を遂行し、実用化を目指す。
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