研究課題
日本人におけるがん死亡原因のトップはかつて胃癌であった。現在は男女計で肺がんとなっているが、依然としてわが国第2位の死亡例数となっている。わが国において胃がんに関する研究の必要性は今だに高いといえる。また、がんの予防には、がんに罹患する前の根本的な予防である一次予防と早期発見に代表される二次予防がある。我々の研究は一次予防、二次予防の双方にまたがるが、発生したがんが極めて微小な時期に免疫学的に体内から除去されうる可能性を考慮し、ABO式血液型に注目して、胃がんに対する防御機構を追求するということが、本研究の課題名かつ目的である。最も重要な事項は動物の顎下腺ムチンを抗原として、また抗体として目標物質のエピトープと考えられるアミノ酸配列を含む抗体を利用し、特異性の高い状態として、抗原抗体反応の力価をABO式血液型間で差が隼じることを確かめたことである。顎下腺ムチンは市販のものを脱シアル化して用いた。力価を確認する方法として、糖などの物質を使って阻害実験を実施し、抗原抗体反応に糖物質が十分関与していることを確認した。阻害に用いた糖は、N-ブセチルグルコサミン、N-アセチルガラクトサミン、グルコース、ガラクトースであり、目標物質のエピトープに重要な関与をしている物質が高濃度で存在しているとき、ELISA方における相対的力価が低下した。これらの実験結果を踏まえて各人が計画最終年度に実施すべき内容についても確認した。学会等に参加して分野の知識・情報を増やし問題解決力を向上させた。
2: おおむね順調に進展している
当初の目論見通り、動物の唾液腺ムチンに標的物質を含むことを、糖阻害法や質量分析計での解析を通じ確認できた。その物質とELISA法を用いて簡便な測定系を確立できた。また、そこから前進しよりピュアな抗体物質を用いて、我々の目的となる物質が血清内に存在するというデータを得ることができた。
さらに、よりシンプルな抗原性物質を用いることで、我々の目標とする物質の抗原抗体反応の相対的力価をより信頼度高く測定し、また疾患との関係に迫りたい。可能であればゲノム的解析を加える。
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http://ds.cc.yamaguchi-u.ac.jp/~2byouri/index.html