研究課題/領域番号 |
22659120
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
斎藤 健 北海道大学, 大学院・保健科学研究院, 教授 (40153811)
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研究分担者 |
蔵崎 正明 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究院, 助教 (80161727)
細川 敏幸 北海道大学, 高等教育推進機構, 教授 (00157025)
藤田 博美 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (60142931)
山内 太郎 北海道大学, 大学院・保健科学研究院, 准教授 (70345049)
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キーワード | 衛生 / 中枢神経系 / 影響評価法 / アポトーシス / 環境汚染化学物質 / 神経伝達物質 |
研究概要 |
本研究では、飛躍的に増加する新たな化学物質の種類や量、有害作用の多様性、生体の感受性などを考慮し、環境汚染化学物質の作用機構として、性ホルモン系に対する作用だけでなく新たな作用機構の解明をも包括できる評価法の確立を念頭に置き、環境汚染化学物質の影響を最も受けやすい胎生期および乳幼児期の中枢神経系を対象として、環境汚染化学物質の中枢神経の分化・組織形成、機能発現に対する影響を包括的に把握でき、かつその作用機構の解明に直結する評価法の確立をはかることを目的とする。 23年度は、乳幼児期の中枢神経系の発達、神経回路の形成、保持に対する影響評価法を確立する目的で、PC12細胞の神経突起伸長への環境汚染化学物質の影響を計測できる方法を検討した。その結果、神経突起の染色を用いた定量および神経細胞の分化、組織形成に必須の細胞内シグナル伝達機構であるMAPキナーゼのリン酸化動態を検討することにより環境汚染化学物質の神経突起伸長への影響を把握できることが明らかになった。 また、神経細胞のアポトーシス誘導に密接に関わるBax、Badなどのアポトーシス誘導因子への環境汚染化学物質の影響とDNA切断能を把握することで、環境汚染化学物質の神経細胞死、特にプログラムされた細胞死であるアポトーシスに対する影響を把握できることが明らかになった。 さらに、神経系の分化組織形成や神経伝達には多くのエネルギーが必要であり、そのエネルギー供給源としてのミトコンドリアに着目し、ATP産生の制御系の酵素であるAMPキナーゼが環境ストレスに鋭敏に反応することを明らかにした。このことは、環境ストレスがエネルギー産生系に与える影響を把握する測定系の開発に直結する知見であると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
23年度は、ほぼ当初の計画通りに研究が進展した。その結果として、成果の一部を研究論文として発表することができた。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの神経細胞のモデル細胞であるPC12細胞を用いた多角的な影響評価法の開発研究をさらに進展させると共に、胎生期や成長期の環境汚染物質など環境要因の影響を把握する評価系を開発するための、動物実験等も併せて行う予定である。
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