研究課題
今年度は、タンパク質アレイによるバイオマーカー測定系の確立のため、簡易の手動式アレイヤーでのタンパク質固定における問題点を解決し、ヒト血漿サンプルをアレイに固定後、HRP標識した抗メソセリン抗体(認識部位C末端側)と反応させ発光で検出する測定系を構築した。血漿は8倍希釈、HRP標識抗体は100倍希釈、反応時間は4℃一晩、その後は市販のHRP検出キットを使用して、37℃1時間で検出した。この実験系では、入手可能なELISAキットがN末端C末端の2抗体を用いているのに対して、C末端側1種類のみ抗体を使用しているため、測定値の相関解析を行う必要があった。そこで、臨床サンプル80個を使って、ELISA法との比較を行ったところ、相関係数が0.0193と相関が見られず、市販キットとは、別の測定法であることが判明した。本年度は、さらに臨床サンプルを追加して(約3000サンプル)、あらかじめ取得した胸部レントゲン読影の診断結果と本系測定結果との相関を解析し、中皮腫のバイオマーカーになりうるか、比較検討をおこなう。現在、1.5日要している測定時間を半日程度で測定可能となるよう、反応時間の最適化をはかっていく。バイオマーカーに関しては、現在実施しているメソセリンの有用性の検討とともに、これに限定せず、共同研究者と連携しながら、候補となるタンパクについて網羅的な検討を進めていく。また、タンパク質アレイと既存の測定方法の利点を生かしたバイオマーカー探索の効率化につなげることのできる戦略を確立する。
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