研究概要 |
インスリン抵抗性および分泌能の循環器疾患リスクファクターおよび循環器疾患発症への関与を明らかにすることを目的とする。 インスリン抵抗性および分泌能と循環器疾患リスクファクターとの関連 対象集団は、2010年1月~2011年2月における大阪府立健康科学センターの循環器ドックを受診した40~79歳男女82人(男48人、女34人)である。インスリン抵抗性正常群(HOMA-R≦1.6かつ空腹時血糖値<140mg/dLかつ糖尿病治療中で無い者)57人とそれ以外の者25人における頸動脈の動脈硬化所見(総頸動脈内膜・中膜複合体(IMT)≧1.1mmまたは内頸動脈IMT≧1.5m)を有する頻度は、それぞれ49%、52%で差は無かった。また、内臓脂肪面積過剰(≧100cm^2)の頻度は、27%、52%で有意差があった(p=.03)。インスリン分泌能正常群(HOMA-β≧40)48人および低下群(HOMA-β<40)33人においては、頸動脈の動脈硬化所見が50%、50%、内臓脂肪面積過剰が40%、27%でいずれも差は無かった。 インスリン抵抗性および分泌能と循環器疾患発症との関連 対象集団は、2000~2001年に空腹時インスリン値を測定した4地域住民の40~79歳男女である。脳卒中・虚血性心疾患(CHD)の既往者を除く空腹採血(食後8時間以上)の対象者4,557人(男1,661人、女2,896人)のうち、2003年末までに脳卒中35人(男19人、女16人)およびCHD16人(男11人、女5人)の新規発症を認めた。インスリン抵抗性、インスリン分泌能と脳卒中、CHD発症との間に有意な関連はみられなかったが、今後追跡を継続して確認をする予定である。
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