本研究は、今後開始される多施設共同研究の中央事務局体制の標準化に寄与することを目的とする。そのために本年度は、京都大学大学院医学系研究科の実施するながはま0次予防コホート事業、国立がん研究センターがん予防・検診研究センター予防研究部の実施する多目的コホート研究(JPHC Study)、東京大学医科学研究所が実施するオーダーメイド医療実現化プロジェクトを対象に、事務局主担当者ならびに内部メンバー、研究に関わる行政機関担当者、共同研究先の担当者など、各研究につき約3名にインタビュー調査を行い、中央事務局体制の実態を把握した。 ここまでの調査では、事務局体制の構築には研究に使用できる研究費総額、多施設共同の成り立ち(決定権などが中央集中型か共同研究機関が同等に関与するか)が大きく関与していると考えられた。事務職員が事務局の中心となるか、研究者が生じる様々な事項をアレンジするかは、研究費総額の影響を強く受ける事項である。しかし、研究者が中心となった場合、例えばその研究者のキャリアアップに不利になる一方、他の研究との兼ね合いで対応が不十分なまま放置される恐れもあり、今後検討が必要な課題と思われた。また、主任研究者や中央事務局主担当者のリーダーシップ、定期的な打ち合わせなどメンバー間の情報共有のスムーズさ、各メンバーの役割の明確化が、業務を円滑に進め、突発的な事項にも対応する上で重要と考えられた。 来年度は、さらにインタビュー対象を増やし、有識者の意見も得ながら、多施設共同研究の中央事務局の適切な体制とその支援に関する提言を行う予定である。
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