中央事務局の現状を把握するため、国内で行われている多施設共同疫学研究のうち、オーダーメイド医療実現化プロジェクト(BBJ)、Japan Arteriosclerosis Longitudinal Study(JALS)、多目的コホート研究(JPHC)、JMSコホート研究I/II(JMS)、子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル)、参考のために単施設で実施されている長浜0次予防コホート事業の事務局担当者ならびに内部メンバー、研究に関わる行政機関担当者、共同研究先の担当者など、各研究につき約3名にインタビュー調査を行った。さらに収集した情報をもとに中央事務局機能についてまとめた後、インタビュー対象者のうち了解が得られた者に依頼して意見交換を行うグループディスカッションの場を設けた。このディスカッションには2時間を費やし、その場で出た意見を基にまとめをブラッシュアップした。事務局体制の構築には研究に使用できる研究費総額、多施設共同の成り立ち(決定権や解析担当などが中央集中型か共同研究機関が同等に関与するか)が大きく関与していると考えられ、それにより役割もミニマムリクワイアメント、グッドプラクティス、ケースバイケースの項目に分類できた。また、事務局と各サイトとの関係だけでなく、出資機関と中央事務局、研究責任者(PI)と中央事務局との関係も役割遂行に大きな影響を与えると考えられた。今回得られた研究成果をまとめ、多施設共同の疫学研究に関わる関係者のみならず、出資機関や社会に広く伝えることは、中央事務局体制の標準化のみならず、適切な中央事務局を構築するために必要な研究費・人材等の予算が認められ、研究がより適切に運営されることから、意義の高い研究成果算出につながることが期待できる。
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