研究概要 |
平成23年度の具体的な研究成果を以下にまとめる。 1)医学科4年次の全国共通進級試験(CBT試験)受験者を対象に、試験7週間前、試験前日、1日の試験終了直後、及び、試験終了1週間後のタイムポイントで採血し、質問紙(STAI,SDS)による木安とうつ状態の評価、唾液のコルチゾルの測定、サイトカインの測定、及び、マイクロRNAの網羅的解析を行い、急性心理的ストレス特異的な血液中のマイクロRNAとしてmir144*mir144,mir16を初めて同定した(Neurosci Lett 2012)。同じモデルを用いて、27遺伝子のストレス特異的選択的スプライシング反応を検出した結果、スプライシングの多・くはinclusionではなくskippingであり(27遺伝子中21)、13'UTRのskippingが特徴的であった(8遺伝子)。急性心理的ストレス特異的な血液中のマイクロRNAの増加と3'UTRのskipping反応の相反するmRNAの代謝調節機構が心理的ストレス応答を調節している可能性を示すことが出来た。 2)選択的スプライシング調節因子であるSRタンパク質のうち、SRSF3とTra2betaに焦点をしぼり、in vitroでのストレス反応の研究をすすめた。その結果、SRSF3を介したG1/Sチェックポイントとアポトーシス調節機能を明らかにした(論文投稿中)。また、SRSF3自身の選択的スプライシングバリアントによるストレス応答を発見し(J Med Invest2012)、さらに、ストレスにより特異的に誘導されるTra2betaのスプライシングバリアントの新たな機能も発見した(論文作成中)。 このように2年間の本研究により、研究課題をさらに発展させる分子基盤を確立することが出来た。
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