人工的dimerizerAP20187誘導性にFv2E-PERKキメラ蛋白を2量体してeIF2αリン酸化シグナルを活性化させるトランスジェニック(Tg)マウス(αMHC-Fv2E-PERK)及びeIF2α特異的脱リン酸化酵素Gadd34のC末端側のフラグメント(Gadd34C)を発現させeIF2αリン酸化シグナルの活性化を抑制するTgマウス(αMHC-Gadd34C)を作製して解析を行った。αMHC-Fv2E-PERKトランスジェニックマウスではdimerizer AP20187の投与によってeIF2αリン酸化レベルが亢進して下流の転写因子ATF4の蛋白レベルでの発現量の増加が確認された。また、DNA gene chipによる遺伝子発現解析でも、転写因子ATF4の下流の遺伝子群の発現上昇が確認された。 非常に興味深いことに、αMHC-Fv2E-PERKマウスにdimerizerAP20187を投与すると心筋収縮力が一過性に低下し、AP20187の投与をやめると心筋収縮力が回復した。eIF2αリン酸化は強い虚血で心筋に誘導されることからstunnedmyocardiumの分子機序にeIF2αリン酸化が関与していると考えられる。eIF2αリン酸化シグナルの活性化に基づく心収縮抑制の分子機序について、Ca handlingの変化に着目して さらなる解析を行っている。 さらに、αMHC-Fv2E-PERKマウスやαMHC-Gadd34Cマウスに大動脈縮窄による圧負荷をかけて心機能の変化を経時的に観察して、代謝リモデリングと心機能関係を現在評価中である。
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