研究課題/領域番号 |
22659161
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
中里 雅光 宮崎大学, 医学部, 教授 (10180267)
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研究分担者 |
松元 信弘 宮崎大学, 医学部, 助教 (70418838)
柳 重久 宮崎大学, 医学部, 助教 (60404422)
三好 かほり 宮崎大学, 医学部, 医員 (50573375)
今井 光一 宮崎大学, 医学部, 助教 (00404426)
坪内 拡伸 宮崎大学, 医学部, 医員 (60573988)
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キーワード | グレリン / 肺癌 / 漢方薬 / 慢性呼吸不全 / 肺傷害 / Pten / QOL / カヘキシア |
研究概要 |
本年度は(1)肺癌患者のグレリンの病態生理学的意義の解明、(2)補完医療による内因性グレリン誘導の検討、(3)慢性呼吸器疾患患者に対するグレリンの臨床応用、(4)肺傷害モデルマウスを用いた線維化と二次性高血圧に対するグレリンの効果の評価を行った。 (1)進行肺癌患者26例と健常人49例で血漿アシルグレリン、デスアシルグレリンを測定した。健常人では血漿総グレリンが41.4fmol/mlで、肺癌患者では90.7fmol/mlと有意に上昇していた。多変量解析では、肺癌の有無が血漿総グレリン上昇を予測する独立した因子であった。さらに、化学療法で体重が減少した患者では内因性グレリン産生が増えていた。 (2)慢性呼吸器疾患のため、食思不振を訴える患者を対象とした。六君子湯を4週間内服し、内服前、4週間内服後、内服終了4週後に評価を行った。17症例の中間的な解析では、食欲スコアは内服前に比較して内服終了時に有意に改善しており、終了4週後では内服前と有意差を認めなかった。血漿総グレリン、アシルグレリン、デスアシルグレリンは症例間でばらつきが大きく、内服前、終了時、終了4週後で統計学的な有意差を認めなかった。 (3)慢性呼吸不全患者にグレリンを投与する用量探索試験を行い、6症例のエントリーを得た。全症例の平均で、摂食量が1640から1775kcal/day、体重が41.7から42.8kg、6分間歩行距離が287から332mへ増えた。グレリン投与により、栄養状態と運動耐容能が改善した可能性が示唆された。 (4)ブレオマイシン肺傷害モデルマウスではグレリン投与により、14日後の生存率に有意な改善を認めた。グレリン投与マウスでは組織学的に急性期の炎症細胞浸潤とその後の線維化が抑制され、肺内における炎症性サイトカイン産生が有意に抑制されていた。
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