研究課題
(1)手術不能進行肺癌患者において、化学療法開始後14日間の血漿グレリンの動態を測定した。アンケートにより食欲、倦怠感、気力、嘔気の程度を評価しグレリン値の動態と比較した。また、化学療法前と14日後のQOLをEORTC, QOL C30で評価し、グレリン値との相関を検討した。化学療法中の血漿グレリンは、QOL障害と平行した動態を示した。化学療法によってEORTC functionスコアが増悪しなかった症例では、化学療法前の血漿グレリン値が低く、経過中に血漿グレリン濃度が上昇した症例ではEORTC functionスコアが増悪する傾向にあった。これらの結果は、グレリンの抗カヘキシア作用と考えられた。(2)食思不振を訴える慢性呼吸器疾患患者を対象とし、六君子湯を4週間投与した。17症例の解析では、食欲スコアは内服前に比較して内服終了時に有意に改善しており、終了4週後では内服前と有意差を認めなかった。血漿総グレリン、アシルグレリン、デスアシルグレリンは症例間でばらつきが大きく、統計学的な有意差を認めなかった。(3)慢性呼吸不全患者にグレリンを投与する用量探索試験を行い、9症例のエントリーを得た。全症例の平均で、摂食量が1784から1968 kcall day、体重が45.4から47.9kg、6分間歩行距離が244から298mへ増えた。グレリン投与により、栄養状態と運動耐容能が改善した可能性が示唆された。(4)ブレオマイシン肺傷害モデルマウスではグレリン投与により、用量依存性に生存率の改善を認めた。また、pair-fedアッセイにより、グレリンによる肺傷害モデルマウスの生存率改善効果は、摂食量増加作用に非依存性であることが明らかになった。さらに肺上皮細胞のアポトーシスはグレリン投与により有意に減少することを明らかにした。
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Eur J Pharmacol
巻: 672 ページ: 120-127
PLoS ONE
巻: (in press)
doi:10.1507/endocri.K11E-021