高尿酸血症患者における腎機能の低下がよく見られているが、その詳細なメカニズムは明らかになっていない。最近我々はメチルグリオキサール(MG)などのカルボニル物質が慢性腎臓病患者の血中で増加し、病態進展に関与している可能性を報告した。さらにカルボニルとアミンの化学反応が腎臓病の進展にも関与する可能性を報告した。したがって本研究ではアミン物質濃度の高い病態である高尿酸血症に伴う腎機能低下に対するMGの役割について検討した。 7週齢の雄Sprague Dawley(SD)ラットをコントロール(Con)群、1%MG経口飲水投与(MG)群、尿酸酸化酵素阻害薬であるオキソニン酸(750mg/kg/day)投与(OA)群、MG+OA併用投与群、MG+OAにカルボニル物質の消去剤であるピリドキサミン(600mg/kg/day)投与(B6)群の5群に分け、6週間観察した。 Con群に対しOA群で血清尿酸の上昇が認められた。MG群およびOA群はCon群に比べ24時間尿中アルブミン排泄量(Ualb)の有意な増加は認められなかったが、これらを併用したMG+OA群では増加が認められた.酸化ストレスのマーカーである24時間尿中過酸化水素排泄量(H_2O_2)はCon群に比べMG群およびOA群では有意な変化が認められなかったが、MG+OA群では有意な増加が認められた。一方、B6群ではUalb及びH_2O_2はともに有意な減少が認められた。 以上の結果から、MGとオキソニン酸(OA)は単独では腎障害を呈さない用量でも、MGとOAを併用することで腎障害が誘導されることが示された。つまり、高尿酸血症に伴うアミンとカルボニル反応により腎障害が進展する可能性が示唆された。また、この腎障害は腎酸化ストレスマーカーの上昇を伴い、ピリドキサミン投与によりマーカーが減少したことから、腎障害メカニズムに酸化/カルボニルストレスが関与する可能性が示唆された。
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