研究概要 |
我々は、25-hydroxyvitamin D(25(OH)D)の培養血管内皮細胞に対する作用を検討した。同細胞に25(OH)Dを投与すると、10分以内にeNOSのSer1177のリン酸化が上昇し、Thr 495のリン酸化が低下した。同細胞にはビタミンDの活性化酵素(CYP27B1)や、不活性化酵素(CYP24)は発現しておらず、投与した25(OH)Dが1,25(OH)2Dに変換されることなく、直接的に作用した事が示唆された。eNOSのSer1177のリン酸化とThr495の脱リン酸化は、ともにeNOSによるNO産生を促進する変化であり、25(OH)DによりeNOSの活性化が生じていることが示された。ショ糖密度勾配を用いて血管内皮細胞よりlipidraftを精製し、eNOSの分布を確認したところ、25(OH)D投与によりeNOSの分布様式に変化が生じる事も明らかとなった。以上のことから、25(OH)Dが1ipidraftに作用してeNOSの活性を制御している可能性が示唆された。同様の変化が生体内においても生じるか否かについて、動物での検討を進めた。通常の動物に25(OH)Dを投与すると、腎CYP27B1により1,25(OH)2Dに変換され、得られた結果が25(OH)Dによるものか1,25(OH)2Dによるものか不明となるため、CYP27B1ノックアウトマウスを用いて1,25(OH)2D産生ができない条件下で検討し、培養細胞と同様の結果を得つつあった。また同ノックアウト動物を用い、25(OH)Dが腎臓レニン産生を直接抑制することを見いだし、25(OH)Dに直接的な多面的作用があることを明らかにした。
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