研究課題/領域番号 |
22659167
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研究機関 | 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター |
研究代表者 |
糸山 泰人 国立精神・神経医療研究センター, 病院, 院長 (30136428)
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研究分担者 |
青木 正志 東北大学, 医学系研究科, 教授 (70302148)
鈴木 直輝 東北大学, 病院, 助教 (70451599)
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キーワード | 神経分子病態学 / 筋萎縮 / 封入体筋炎 / 自己抗体 |
研究概要 |
封入体筋炎(IBM)は骨格筋に縁取り空胞と呼ばれる特徴的な組織変化を生じ炎症細胞浸潤を伴う疾患である。筋萎縮性側索硬化症(ALS)と鑑別困難な場合もあり進行性の筋萎縮を伴う難病である。ステロイドや免疫グロブリン大量療法といった免疫学的治療に不応・増悪し有効な治療法は無い。 IBM筋の縁取り空胞内にはAβ蛋白やユビキチンの存在が指摘されアルツハイマー病との類似性も示唆されている。IBMの病態の根本に迫るには免疫・変性の両面からのアプローチが必要である。 IBM患者および疾患コントロール各5例から血清を採取、IgGを精製し、9000種以上の蛋白が固相化されているプロテインアレイに反応させ自己抗体候補を見出した。IBM患者血清からはユビキチンプロテアソーム系に関係する分子や機能未知な分子に対するIgGを特定した。これらはELISAや多数例での検討で確認する必要がある。また病態において重要な役割を果たすと考えられるプロテアソームの骨格筋特異的な欠損マウスを作成した。著しい全身の筋萎縮や側轡が見られ、若年で死亡することがわかった。骨格筋凍結切片標本の検討により筋線維内の封入体形成を確認した。さらにプロテアソーム活性が若年齢のマウスで低下していることを確認し、電子顕微鏡によってミエリン様の異常構造物の確認も行った。ウエスタンブロットやマイクロアレイでの解析によりオートファジー経路の活性化が見られることを明らかにした。 本マウスはIBMの病態の一部を反映していると考えられる。 これらのアプローチによりIBMの病態解明を行い、治療法の開発につなげていきたい。
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