研究課題
ALS病態モデルとして、ヒトグリア由来細胞であるU87さらにヒト神経芽細胞腫由来のSH-SY5Y用い、TDP-43をターゲットとしたRNA抑制法にてTDP-43を効率よく減少させる系を確立した。本方法により、TDP-43は極めて効率よく発現を抑制できることが確認できた。確立した方法を用い培養細胞から、mRNAを回収した。TDP-43の機能異常としては、つまりスプライシングに影響を与えるという観点から、選択的スプライシングの比率が変わる句能性と、フレームがずれることによりナンセンス依存性mRNA分解機構が働きmRNA量が減少する可能性がある。本計画では、この両者をアレイを用い検討した。回収したmRNAを用い、エクソンアレイ(選択的スプライシングの検索)、及びジーンアレイ(発現量の検索)を用い、特定のエクソンの発現の変化、もしくはmRNA量の減少が認められないか検討した。その結果、複数の培養細胞において特定の遺伝子のスプライシングの変化を同定した。このスプライシング変化が、ALS患者組織にて変化していることを検討した。その結果、ALS患者、脊髄、大脳にて、このスプライシング変化が起こっていることを確認した。さらにALS患者運動神経細胞をレーザーマイクロダイセクション法にて取り出し、運動神経細胞でも同様にスプライシング変化が起こっていることを見いだした。この成果は、ALS患者罹患組織でTDP-43機能が減少していることを示した物である。さらに、この遺伝子のスプライシング変化は正常ではほとんど認めないため、この遺伝子のスプライシング多様体が、本症の病態を反映するバイオマーカーとなる可能性が示された。
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Neuropathology
巻: 38 ページ: 54-60
Clinical Neuroscience
巻: 29巻9号 ページ: 1019-1021
Neuropathology. 2011
doi:10.1111/j.1440-1789.2011.01271.x