研究課題
TAR DNA-binding protein-43(TDP-43)は筋萎縮性側索硬化症(ALS)の病巣にユビキチン陽性の異常凝集体を形成するが、ミスフォールドタンパクの本態は不明で通常の解析では特定困難である。本研究では、幅広い圧力と温度環境における核磁気共鳴(NMR)測定に基づき、TDP-43のコンフォメーション平衡の全容解明を行い、ALSの病態に関連するTDP-43の構造異常を特定し、ユビキチン化とその分子基盤明らかにすることを目的としている。本年は、まずRNA結合領域であるRRM1とRRM2ドメインの安定同位体を作製し、その基軸構造と水和実験による不安定配列を特定した。さらにRRM1は高圧力負荷にて不可逆的な化学シフトを起こす部位を同定し、オリゴマーや凝集体が形成されることを突き止めた。さらにRRM2は濃度依存性に凝集体を形成し、振動負荷や70度の高温条件下でモノマー構造が変性し、これはベータシート構造の特定の部分の変異により誘導されやすいことが判明した。今後、ケミカルシフトを認めたドメインに対するウサギ抗体を作製し、培養細胞やマウス組織を用いて免疫細胞・組織学的、あるいは生化学的解析を行い、さらに変性中間体のモデルのデザインを開始する。また、TDP-43のユビキチンリガーゼを同定するためのin vitroユビキチン化アッセイと、クロスリンカーの組み合わせによる条件設定を行い、今後免疫沈降と質量解析実験を行うための実験基盤を立ち上げた。
すべて 2010 その他
すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (3件) 備考 (1件)
最新医学「神経変性疾患におけるTDP-43」
巻: 65 ページ: 1588-1596
実験医学増刊号「脳神経系の情報伝達と疾患」
巻: 28 ページ: 799-807
J Neuropathol Exp Neurol
巻: 69 ページ: 1044-1056
J Neurochem
巻: 115 ページ: 1102-1111
J Neurosci Res
巻: 88 ページ: 784-797
Glia
巻: 58 ページ: 231-243
Biomaterial
巻: 31 ページ: 4179-418
医学のあゆみ
巻: 235 ページ: 255-260
http://www.shiga-med.ac.jp/~uru/index.html