研究課題
近年、アルツハイマー病、パーキンソン病、ポリグルタミン(PolyQ)病など多くの神経変性疾患において、異常蛋白質のミスフォールディング・凝集が共通に神経変性を引き起こすと考えられるようになった。本研究では、異常伸長PolyQ蛋白質のミスフォールディング・凝集を阻害する異常伸長PolyQ鎖結合ペプチドQBP1の低分子化・非ペプチド化により、QBP1の活性を保持しかつ生体内・脳内への移行性が高いドラッグ-ライク化合物アナログの分子デザインを行って、PolyQ病治療薬の創薬を目指すべく、以下の研究を行った。1)QBP1配列中の活性必須アミノ酸配列の同定:QBP1(SNWKWWPGIFD)のアラニン・スキャン体、Dアミノ酸・スキャン体、欠失変異体など様々な変異体について、in vivoでのThio-PolyQ凝集濁度アッセイを用いてPolyQ凝集阻害活性を検討した。その結果、WKWWPGIFの8アミノ酸がPolyQ凝集阻害活性に対する最小配列であり、これらの配列のうち、W3、W5、W6、I9、F10の5アミノ酸がPolyQ凝集阻害活性に必須であることを明らかにした。また、表面プラズモン共鳴(SPR)解析の結果、QBP1変異体のPolyQ鎖に対する結合親和性とPolyQ凝集阻害活性とが相関することを見出した。2)NMRを用いたQBP1-PolyQ鎖複合体の構造解析:QBP1-PolyQ鎖の結合に寄与するアミノ酸配列を明らかにするために、NMRを用いてQBP1-Thio-PolyQ蛋白質複合体の構造解析を試みた。その結果、Thio-PolyQのPolyQ鎖部分は主鎖由来のシグナルがほとんど得られず、均一な構造をとらないか微細な凝集体を形成していると考えられた。Thioredoxin部分は本来の立体構造を保ったままであった。以上の結果から、QBP1のドラッグ-ライク化合物アナログの分子デザインに必須の構造活性相関が明らかになり、PolyQ病治療薬の創薬につながることが期待される。
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