研究課題/領域番号 |
22659183
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
池田 康夫 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (00110883)
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研究分担者 |
松原 由美子 慶應義塾大学, 医学部, 特任講師 (70365427)
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キーワード | 血小板 / 巨核球 / 骨髄脂肪変性 / 造血幹細胞 / 間葉系幹細胞 / 脂肪前駆細胞 / 分化誘導 / 細胞運命制御 |
研究概要 |
骨髄が脂肪変性におちいった時、造血機能が著明に低下することはよく知られている事実であるが、その病態の分子機構は不明である。本研究は、巨核球・脂肪細胞の両方へ分化能を有することを申請者らが明らかにした数種の細胞株や初代培養細胞、あるいはどちらへの分化能も有さない細胞株を用いて、その分化スイッチ機構を制御する因子の同定を行い、骨髄脂肪変性と巨核球造血への運命決定機構の解明を目的とした。具体的には、それら細胞から巨核球や脂肪細胞にin vitroにて分化誘導を行う際、その細胞分化決定のスイッチに関与すると考えられる候補因子の遺伝子導入を行い、巨核球や脂肪細胞への分化能への影響を検討した。種々のアプローチによる検討の結果、巨核球造血への運命決定因子としてp45NF-E2/Maf G/Maf Kを同定した。マウス繊維芽細胞株やヒト成人皮膚繊維芽細胞にこれら転写因子の組み合わせを遺伝子導入し、巨核球分化誘導培地にて培養を行うと巨核球分化・血小板産生が認められた。巨核球造血への運命決定因子はこれまで不明であり、本知見が初めてであった。次に脂肪分化への決定因子として既に報告されている転写因子PPAR gammaやCEBP alphaと前述のp45NF-E2/Maf G/Maf Kを単独あるいは種々の組み合わせでマウス繊維芽細胞株とヒト成人皮膚繊維芽細胞に遺伝子導入を行い、巨核球や脂肪細胞にin vitro分化誘導を行った。種々の詳細な検討の結果、マウス繊維芽細胞株やヒト成人皮膚繊維芽細胞にp45NF-E2とCEBP alphaを遺伝子導入し、巨核球分化誘導培地にて培養を行うと巨核球分化・血小板産生の抑制が認められた。転写因子データベースを用いたコンピューター予測ではp45NF-E2のプロモーター領域にCEBP alphaの結合部位が存在する事を認めた。本研究において、p45NF-E2とCEBP alphaが巨核球と脂肪の分化スイッチ機構において重要な役割を有することを見いだした。
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