研究課題
小児後天性骨髄不全症候群には、再生不良性貧血(AA)や低形成骨髄異形性症候群(MDS)が含まれるが両疾患の鑑別は容易ではない。これまで、両疾患の鑑別は、骨髄塗抹標本や生検標本の形態学に基づいた診断を基本に、染色体分析等の結果を踏まえて行われてきたが、血液専門医間でも診断の一致率は低い。低形成MDS患者においては、一部の遺伝子プロモーター領域のメチル化が観察され、脱メチル化薬の有効性が報告されている。本研究の目的は、最近開発されたメチル化アレイ法を用いて、AAと低形成MDSとの鑑別に有用な遺伝子群の候補を同定することにある。本研究は既存の方法では鑑別困難であった両疾患について、遺伝子のプロモーター領域のメチル化をマーカーに再分類を試みるものであり、さらに脱メチル化薬やHDAC阻害剤による新規治療法が有効な患者群の同定も期待しうる。平成22年度中に、我々は末梢血・骨髄塗抹標本および病理標本の形態診断によりAAおよびMDSと判断された症例約50例のgenomic DNAを抽出し、バイサルファイト処理およびwhole genonle DNA増幅を行った。現在までに、10種類以上の遺伝子プロモーター領域において、パイロシークエンス法によるメチル化解析を終了した。次年度は、症例数および解析する遺伝子プロモーター領域数を増やし、遺伝子発現レベル・臨床情報との関連についても併せて統計解析を行う計画である。また、当初の目標であるAAとMDSの分子学的手法を用いた客観的な鑑別診断の実現に向けて、免疫染色、マイクロダイセクション、遺伝子シークエンスを組み合わせた手法を用い、小児AA・MDS症例の微小なmalignant cloneの存在の有無による鑑別方法を並行して現在開発中である。
すべて 2011 2010
すべて 雑誌論文 (12件) (うち査読あり 11件) 学会発表 (12件)
Biol Blood Marrow Transplant.
巻: 17(3) ページ: 291-299
Pediatr Transplant.
巻: 15(2) ページ: 161-166
Int J Hematol.
巻: 93(2) ページ: 186-191
Haematologica.
巻: Epub ahead of print ページ: Epub ahead of print
Blood
巻: 116(22) ページ: 4631-4638
巻: 115(15) ページ: 3158-3161
Haematologica
巻: 95(8) ページ: 1293-1299
Br J Haematol.
巻: 150(1) ページ: 83-87
Bone Marrow Transplant.
巻: 45(10) ページ: 1508-1513
巻: 92(3) ページ: 419-424