研究課題/領域番号 |
22659193
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
小島 勢二 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (20313992)
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研究分担者 |
高橋 義行 名古屋大学, 医学系研究科, 准教授 (40432273)
村松 秀城 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (00572570)
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キーワード | 再生不良性貧血 / エピジェネティクス / 骨髄異形成症候群 / パイロシークエンス |
研究概要 |
再生不良性貧血(AA)と低形成骨髄異形性症候群(MDS)の鑑別は容易ではない。特に小児MDSの50%以上を占めるrefractory cytopenia of childhood(RCC)とAAの鑑別は、これまで骨髄塗抹標本や生検標本の形態や染色体分析の結果に基づいておこなわれてきたが、専門医の間でもその一致度は高いものではなかった。また両者の病態の違いについても国際的に結論が出ていない。両疾患の違いについて、RCCではTP53染色陽性細胞の増加や、micromegakaryocyteの増加がみられるなどの病理学的特徴が得られた。TP53遺伝子変異についてレザーマイクロダイセクションで免疫染色陽性細胞のみを切り出し、サンガー法で遺伝子解析を行ったところ、RCCでは9例中6例で変異がみられたが、AAではTP53陽性細胞は皆無で、変異もみられなかった。これはAAとRCCの分子病態の違いを示す代表的な変化と考えられ、今後多数例での検討を行う予定である。またパイロシークエンス法で代表的なp16遺伝子のプロモーター領域のメチル化異常について検討したところ、5例中2例のRCCで高メチル化がみられたが、AAではみられなかった。またAAで発現低下のみられるGATA2遺伝子についてそのプロモーター領域の解析を行ったところ、正常骨髄に比して、AAでは高メチル化がみられた。AAとRCCの鑑別は従来、血液専門医や病理医により形態診断されてきたが、TP53遺伝子異常の検出やp16遺伝子のプロモーター領域のメチル化を検討することで、両疾患を客観的に鑑別できる可能性が示された。
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