研究課題
今年度は、横紋筋肉腫(RMS)50検体(細胞株8株、新鮮腫瘍42例)を用い、発現解析、変異解析、SNPアレイによるゲノムコピー数の解析を行った。またALK阻害剤による、細胞株の増殖抑制効果も検討した。RT-PCRを施行した29検体中17検体(59%)でALKの高発現を確認し、SNPアレイでは胞巣型の1例でALK領域の高度増幅を検出した。この例では同時にPAX3とFKHR領域の高度増幅も検出されたが、ALK遺伝子の変異は検出されなかった。ALK阻害剤により一部の細胞株で増殖抑制効果が認められた。ALKはRMSで高率に発現し、高度増幅例も認められたことからRMSの発症・進展に関与している可能性が示唆された。NOTCHシグナルは細胞増殖に関与し、白血病や脳腫瘍で異常が報告されているが、小児固形腫瘍への関与は不明である。今回、小児固形腫瘍の細胞株70株(神経芽腫40株、Ewing肉腫17株、RMS13株)、新鮮腫瘍248例(神経芽腫131例、Ewing肉腫56例、RMS61例)のNOTCH1/2の変異解析および発現解析を行った。またsi-RNAによるノックダウンの系を用いてNOTCHシグナルの細胞増殖に及ぼす影響を検討した。変異解析ではNOTCH1/2のHD domainとPEST domainに9個の一塩基置換を認めた。si-RNAによりNOTCHシグナルをノックダウンした結果、変異NOTCHを発現する細胞株では野生型NOTCHを発現する細胞株に比べて著しい細胞増殖制御効果が確認された。NOTCHシグナルは一部の小児固形腫瘍の発症・進展に関与する可能性が示唆され、今後小児固形腫瘍の新たな治療標的となる可能性がある。
2: おおむね順調に進展している
昨年度はALKのEwing肉腫における解析を行い、今年度は横紋筋肉腫における意義を検討した。さらにNOTCHシグナルの小児固形腫瘍における意義も検討し、研究は順調に進展している。
次年度は小児固形腫瘍におけるIDH1、IDH2の解析とALKの詳細な機能解析を行う予定である。また次世代シーケンサーを用いたエクソーム解析も行う予定である。
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