無菌マウスの解析。従来のSPF環境下では、実験動物にさまざまな病原体がすでに体内外に定着しており、皮膚における細菌の影響を検討することは困難であった。そこで、無菌状態で飼育された無菌マウスにまず着目した。C57/BL6バックグラウンドの無菌マウスを無菌室で飼育した。この8週齢の無菌マウスと、通常のSPF環境下で飼育したC57/BL6マウスをコントロールとして比較検討した。 マウスの表現型の観察。まず無菌マウスに無刺激の状態で異常がないかどうか、SPFC57/BL6マウスをコントロールとして比較観察した。 皮膚臨床学的な解析。皮膚びらん、潰瘍、皮膚肥厚などの外観上の異常がないかどうか確認した。その結果、無菌マウスはSPFマウスと比較して明らかな皮膚の異常は認めなかった。 病理組織学的解析。耳介、および剃毛後の背部皮膚を採取後、パラフィン切片を作成し、HE染色で病理組織学的に検討した。その結果、無菌マウスの表皮は病理組織学的にはSPFマウスと比較してやや萎縮傾向であった。また、真皮浸潤細胞はほとんどなく明らかな差異はなかった。 尋常性乾癬では表皮の分化異常がみられるので、さらにパラフィン切片を用いた免疫染色で表皮の分化異常を確認した。ケラチンをはじめとする通常の分化マーカー、および異常分化のマーカーの発現を免疫組織学的に確認した。その結果、無菌マウスの表皮では、SPFマウスの表皮と比べて明らかな差異はなく、正常に分化していると考えられた。さらに、増殖に関しては、Ki67染色にて確認した。
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