研究課題/領域番号 |
22659211
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
三辺 義雄 金沢大学, 医学系, 教授 (60181947)
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研究分担者 |
菊知 充 金沢大学, 子どものこころの発達研究センター, 特任准教授 (00377384)
棟居 俊夫 金沢大学, 子どものこころの発達研究センター, 特任教授 (50293353)
松崎 秀夫 浜松医科大学, 子どものこころの発達研究センター, 特任准教授 (00334970)
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キーワード | 尿メタボローム / 脂肪酸 / 広汎性発達障害 / 就学前児童 / 脳磁図計 / ガスクロマトグラフ質量分析法 |
研究概要 |
幼児からも非侵襲的に簡単に採取できる尿は、幼児における集団的な検診に最も適した検体でると考えられる。これまで自閉症の研究ではほとんど注目されてこなかった代謝産物が、バイオロジカルマーカーとなり得るか、尿を用いて探索的に研究を行うための、適切な環境づくりのための準備を進めた。まずはGC-MS(ガスクロマトグラフ質量分析法)により尿中の脂肪酸の測定を実施した。その結果パルミチン酸、オレイン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸といった4種類の脂肪酸が尿中から測定できることが判明した。そこで脳磁図を測定する施設(金沢)において、広汎性発達障害児と、定型発達児から尿を採取し、-80度で保管し、それを一括して(浜松)に保冷移送してただちにGC-MSで分析をすすめた。 健常幼児24名および広汎性発達障害の幼児32名より検体を採取し、上記の尿中4種類の脂肪酸を測定した。その結果、発達障害児と定型発達障害児との間に有意な違いは認められなかった。さらに、K-ABCをもちいた認知機能指数との関連を調べたが、発達障害児においても、定型発達児童においても、認知機能の指数と尿中脂肪酸との有意な関連は認められなかった。 今回の研究の意義としては、仮説として脂肪酸の代謝経路に、発達障害児に健常との違いがあることを想定し、非侵襲的で簡単に採取かのうな尿をもちいて、脂肪酸代謝物から、広汎性発達障害のバイオマーカーを探索することが目的であった。しかし、現在尿中から測定可能なパルミチン酸、オレイン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸といった4種類の脂肪酸はバイオマーカーとしてはなりえないことが確かめられた。
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